コラム
Column
内海 政嘉なぜ、「かじ取る力」が必要か
かじ取る力とは、自社の現状と取り巻く環境を理解したうえで、会社が進むべき方向を組み立てる力のことで、主として経営者や経営幹部に求められる力を言います。
ビジョンや目標を定め改善を継続することは、経営改革を実現するうえで欠かせません。しかし、環境が変わり始めたとき、今までの改善をそのまま続けていても会社は決して良くよくはなりません。
ある食品メーカーは、改善活動に取り組むことで着実に成果をあげていました。
しかし、改善を継続しているにも関わらず、食に対する安全・安心への関心の高まりや、顕著な低価格志向などにより、数年前から収益が悪化し始めました。
最近では、近隣にできた大手スーパーとの競争が激しくなり、そこにセシウム汚染の懸念による消費者離れが起こるなど、周りの環境変化の影響を受け赤字に転落してしまいました。
経営者は、管理者に向かって改善をもっとしっかりやるようにと檄を飛ばし、社員も懸命に取り組むのですが、収益は一向に回復する兆しを見せません。
そこで、私から新たなビジョンづくりを提案しました。
その結果、中高年層への顧客の絞込み、新商品開発や新形態の店舗づくりなど、新たなビジョンを社員に示すことができました。
そして今、新しいビジョンの実現に向け、全社員が新たな改善に取り組んでいます。
この力こそが「かじ取る力」です。
環境が変わったのですから、従来のままいくら懸命に取り組んでも成果にはつながりません。
その変化に対応し会社の進むべき方向を組み直すことが必要となります。
つまり、経営者が従来のビジョンを見直し、変化に対応したビジョンや経営方針の再構築が不可欠なのです。
そのうえで、新たなビジョンの実現を目指し、全社員が新たな改善に取り組むことで、新たな収益が生まれてくるのです。