Column

清水 泰史

伝えることの難しさ

仕事で企業内研修の講師を行なうことも多い。

研修では、自分の思いを伝えることの重要性を教えている。そのようなことは十分承知しているが、伝えることの難しさを思い知らされた出来事がある。

ある企業での研修でのことである。

その日の研修が終わり、次回の課題を参加者に説明を行なった。自分としては丁寧に説明を行ない、課題を伝えたつもりでその場を解散した。

ところが次の研修になって私が意図した課題を行なってきたのは、約20名の参加者の中でわずか数名であった。

課題を行なってこなかった参加者は、単に行なうことを忘れたのではなく、私の意図を正しく理解していなかったのである。それが数名ではなく、大半の人が間違って理解したことに対して大いに反省したのと同時に、伝えることの難しさを痛感した。

それ以来、自分の意図を伝えるときには、相手の反応や表情にも注意しながら、何度も確認して話すようにしている。それほどしてもやりすぎではないと思えるほど、伝えることは難しい。

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