コラム
Column
清水 泰史人事考課における評価者能力の重要性
前回は考課者訓練の話題をお伝えしました。
今回は評価時における上司の評価能力の重要性についてお話します。
先日ある会社の人事制度導入説明会の席上で参加者から次のような質問を受けました。
「今回の人事制度では評価者が我々(被評価者)と結果に関する面談を行なってくれるのでしょうか?」という内容でした。
私は当然評価結果に関しての面談が行なわれていると思っていましたので、すぐさま人事担当者に確認しました。人事担当者も同様に、面談は各部で実施されているものと理解されていたようで、このような質問が出ることを予想していなかったようです。
この事例からもわかるように、この評価者は提出期限に間に合わせるよう評価を行ない、点数をつけて提出することが目的になっています。
人事考課本来の目的は、評価結果を今後の課題として次の目標につなげたり、部下の成長につなげたりすることです。
そのための評価結果をしっかりとフィードバックしないと意味がありません。
評価結果をフィードバックせずに次のステップに進むことはできないはずです。
しかし現実は今回の事例のようにフィードバックが実施されずに結果だけがひとり歩きしていることも多いようです。この質問した参加者は不満を我々にぶつけていたのです。
類似した質問として、勤務が2交代制である現場の方が次のような質問をされました。
「評価者がひとりの場合、双方の勤務パターンを公平に観察できているか?」という内容でした。
質問した人は、観察できていないことへの問題提起をされていたと理解しました。この例は上司の観察不足が評価の納得性を下げている例だと思います。
これらの例から、被評価者が納得の高い評価を行なうためには、制度自体の見直しや改定も必要ですが、評価者自身の能力を高めることが重要であることを感じました。
さらにそのためには、評価者に対する教育訓練を継続して行なう必要性を感じました。