労働保険の申告期限も終わり、もうしばらくすると労働基準監督署の定期調査が増えてくと思われます。
皆様方は労働基準監督署は何を調べにくるのかご存知でしょうか?
今回は、あまり知られていない「労働基準監督署の調査」についてお知らせしようと思います。
先々月5月11日に東京労働局から、平成23年度の労働基準監督署の調査の結果について報告がありました(兵庫労働局のデータが未発表ですので、同様の傾向があると類推して考察します)。
これは東京にある18の労働基準監督署が実施した昨年の調査の結果ですが、ここで特筆すべきポイントは実施件数で8,659件となっており、前年に比べて810件減となりましたが、前々年に比べて約1.8倍にも増加していることです。
それから、労働関連法の違反をしている割合は71.0%で、前年比微減となっており、この違反項目を多い順で挙げると、次の内容となっています。
(1)労働時間 2,359件(調査件数に占める違反割合27.2%)
(2)割増賃金 1,737件(調査件数に占める違反割合20.0%)
(3)就業規則 1,435件(調査件数に占める違反割合16.6%)
(4)労働条件明示 1,285件(調査件数に占める違反割合14.8%)
さらに、今回の報告書の最後に「今後も積極的に監督指導を行っていく」と明記されておりますので、今回は、「労働基準監督署の調査内容について」確認してまいります。
今、増えている調査は「定期監督の調査」であり、定期監督とは「労働基準監督署の計画により実施される調査」で、いわゆる社員が飛び込んだことにより行なわれる調査とは違うもので、労働基準監督署がランダムに選んだ会社が対象となっております。
労働基準監督署には「労働条件自主点検表」がというチェックシートがあり、全国的に調査項目は同じように行われ、漏れの無いように調査しているようです。
また、チェックシートが事前に送られてきて、調査日の前日までに「FAXで回答してください」となっている場合もあり、回答に基づき、書類の状況や実態などを効率的にチェックする体制を取っている監督署もあります。
それでは、具体的に調査される項目をみていきますと、
このように、多岐にわたる項目を質問され、そして、現在使用している書式、賃金台帳、締結された労働契約書などの提出が求められますし、矛盾点などを指摘されれば更なる強制調査もありえます。
ここで注意していただきたい点は、調査に立ち会った方は余計な事をしゃべらないということです。
社内における書類の不備から多くの質問が出てきて、余計なことを答え、勧告が増えてしまったケースもありますし、質問以外のことまで話をし過ぎて墓穴を掘ってしまったことも多々あります。
このように、定期監督の場合は形式的、かつ、全般的な調査が行なわれますが、全般的に行なわれるだけに、これらの項目は「すぐに」何とかなるものではありません。
結果として、調査の連絡があってから焦る方が本当に多いのですが、「備えあれば、憂いなし」といいますように、今すぐに、是非、上記の項目を再チェックしてみてください。