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5Sで組織が変わる理由を、理論から考える (3)ツァイガルニク効果

経営理論と関連付けて、「なぜ5Sをすると組織が変わるのか」を説明する3回目です。
今回は「ツァイガルニク効果」という、舌を噛みそうな名前の理論を紹介します。

ツァイガルニク効果は、ツァイガルニクというソ連の心理学者が示した考え方です。
人は「中途半端なままで終わってしまったことについては、気になって仕方がない」という心の動きがあることを、実験で明らかにしました。

例えば下の写真は、5Sでよくある「形跡管理」というテクニックですが、右下に収めるべきものが収められていません。この状態をどう感じますか?
あるべきところにものがなければ「どこにいったんだろう?」「戻さなきゃ」という気持ちになると思います。

形跡管理例

これがツァイガルニク効果です。

5Sの整頓では、スポンジやマットを切り抜いたり、テープで縁取りしたりして置場を明示します。
このようにあるべき姿を明らかにしていれば、それと乖離した状態が気になるようになり、自然と正しい場所へ置きたくなる、というわけです。

このツァイガルニク効果を応用して、やるべきことをグズグズしてやらないことや、先送りをするという悪い癖を直すこともできます。
それは、簡単なことからとにかく何かを始めてみる、ということです。なんでもよいので少しでも取り掛かれば、中途半端なままで終わらせたくなくなるので、最後までやろうという気持ちになります。

経営の場では、「なんでもよいので、簡単なことからとにかく何かを始める」ものとして、5Sは最適です。
統計的手法を駆使した品質管理方法は知らなくても、5Sならば誰でもできます。顧客に対して、立て板に水で美しいプレゼンテーションができなくても、5Sはできます。
5Sをとにかく始めて、物事を最後までやり遂げるという経験を積むことです。
そうすれば、その他の中途半端なままで成果がでなかったこと(業務改善や経営改革)にも着手しようという気持ちが養われていきます。

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