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5S

ひたすら掃除に努めて悟りを開いた人の話

お釈迦様の教えで、5Sと関連深いお話があるのを知っていますか?
須梨槃特(すりはんどく)という、お釈迦様のお弟子さんのエピソードを紹介したいと思います。

この須梨槃特さんは、お釈迦様の弟子の中で最も物忘れが激しい人だったそうで、自分の名前すら覚えられなかったそうです。
お兄さんと共にお釈迦様に弟子入りしたのですが、物覚えの悪いため、お経も満足に覚えられません。

思いつめた須梨槃特さんは、お釈迦様に「破門してください」と言いに行きました。
するとお釈迦様は、ほうきとちりとりを渡してこう言ったそうです。
「経を覚えられないのならば、お前に特別な修行を与えよう。それは毎日掃除をすることだ。」

須梨槃特さんはそれから毎日、他の弟子達にバカにされても掃除を続けたそうです。
時に「なんで毎日掃除をしなければならないのか?」と疑問に思ったこともあったそうですが、ある時、お釈迦様の意図に気がついたそうです。真に掃除すべきものは「なんでこんなことをしなければならないのか」と思う自分の心なのだと。
そして遂に悟りを開き、お釈迦様の十六弟子のひとりになったのだとか。

この話は、「誰にでもできることであっても、それを継続することが重要」という教訓として語られることの多いエピソードです。
確かにそうなのですが、私はここに、5Sに取り組む社員の皆さんの心の動きも見て取れるような気がします。

だいたいどんな会社でも、5Sをやりはじめたら反発があるものです。
「忙しいのにやってられない」「たかが片づけなんて」と思うことは自然なことです。
最初はやらされ感で満ち溢れていますが、徐々にいろんなことに思いを及ぼすようになります。

例えば「昨日もここを掃除したのに、もう汚れている」とか「どういう手順で掃除をすれば早く終わるだろう」と言ったことです。やらされながらも、考えながら活動するようになるのです。

そうなれば、既にその人の心は変わったも同然です。
5Sを通じて何かに気づき、考えることが習慣化されます。そうすると次に、「汚れないよう工夫しよう」「こういう手順で掃除をしよう」と、自分なりに掃除の改善案を出せるようになります。
掃除の方法なので、改善案をいちいち上司に承認してもらう必要はありません。すぐさま改善案を実行し、狙い通りの成果が出れば「やった!」という気持ちに必ずなります。
ここまで至れば、その人はやらされ感を覚えるどころか、既に掃除にハマっていることでしょう。

誰にでもできることであっても、それを継続することが重要です。
継続することで、気持ちに変化が起き、気持ちの変化が行動の変化を起こすのです。

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