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5Sで組織が変わる理由を、理論から考える (4)自己決定理論

経営理論と関連付けて、「なぜ5Sをすると組織が変わるのか」を説明する4回目です。
今回は「自己決定理論」について取り上げます。

エドワード・デシという、アメリカの心理学者が実験をもとに確認した考え方です。
一言で言うと、人は「自分の有能さが感じられて」「自分で物事を決めている」と感じる時に、もっともやる気がでる、というものです。

「自分の有能さが感じられる」ということは、「自分が役に立っている」と感じられることでもあります。例えば私はコンサルティングという仕事をしていますが、まれに「今村さんのおかげでよくなりました」などと言われると、飛び上がって喜びたくなります。

「自分で物事を決めている」ということは、なんとなく理解ができるのではないでしょうか。
人は、他人から言われたことよりも、自分で決めたことのほうがやりたくなります。

子供の頃、親や教師から「勉強をしなさい」と言われた人もいるでしょう。しかし、勉強しなさいと言われて、「よし、そうか!勉強するぞ!」とやる気になる人はほとんどいないのではないかと思います。
友達に負けたくないという気持ちや、好きな女の子の気を引きたいという気持ちをきっかけに、自分で「やろう」と思った時のほうが、より強く動機づけられるはずです。

5Sはこの「有能さ」と「自分で決める」ということが実現しやすい活動です。

先日、ある会社では、日曜大工が得意な社員さんが、ドアの補修工事をしました。それまで風が吹きすさんでいましたが、補修工事をしてみんなから感謝されました。
このように「ドアを直せばみんなに喜んでもらえる」「ドアくらいなら自分で補修できる」という場面になれば、誰から指示をされることもなく、進んで行動できるようになります。
進んで行動することがさらに「有能さ」と「自己決定」を促し、いっそう動機づけられるという好循環が産まれます。

そのような機会を多く経験するほどに、5S的な簡単な改善に飽きたらず、徐々に難しい取り組みにも挑戦してみようという意欲が生まれるのです。

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