事例・実績
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経営改革自ら考え行動する社員をつくる!
計画と目標づくりの場でモチベーションを高める
まず中期経営計画の作成から取りかかった。それまでは経営者が計画を作っていたが、この時から部門長以上の全員が参加することを私は提案した。
六ヶ月間の計画づくりを通じて、部門長は会社の方向性を熟知し、やがて「会社に貢献したい」、「会社とともに成長したい」と感じるようになった。経営者と部門長、部門長同士に一体感も生まれた。経営者の思いを直接聴くことで、自分にかけられた期待と信頼も実感できた。会社の方向性に共感・納得し、部門長のモチベーションが高まった。
計画づくりの過程で、他部門の仕事の役割や課題、事情を知ることもできた。これは部門間の壁を崩す上で大きな一歩になった。
効果はまだある。出来上がった中期経営計画に基づいて、グループリーダーにチャレンジ目標を作成させた。自分の職場では何をやるのか、自己決定の機会をグループリーダーに与えたのだ。人は言われたことよりも、自分で決めたことのほうがやりたくなる。自らが考え、主体的に目標を作る場を作ったことで、目標に対する責任感が芽生えた。グループリーダーも、目標達成へのモチベーションを高めていった。
計画と目標推進の場でモチベーションを高める
計画を作るだけでは“絵に描いた餅”だ。そこで、計画と目標を推進するために、「進捗会議」と「戦略会議」という会議体を新たに設けるよう提案した。
「進捗会議」とは、職場ごとの目標の進捗を確認し、問題があれば解決をする場だ。会議は一方的な報告や発表の場に終わることが多いのだが、ここでは問題解決を最も重要視した。ここで留意したことは、目標に取り組む上で直面するさまざまな問題に対して、発言しやすい環境を整えるということだ。現場での問題が提起されなければ、解決のための議論もできないだろう。グループリーダーからの問題提起や意見を積極的に取り入れることにより、「話を聴いてもらえる」、「自分の意見が認めてもらえる」対話の場として会議は機能し、その結果としてモチベーションが高まった。
また、「戦略会議」とは、部門をまたぐ問題について解決し、各部門で成果があれば共有する場だ。会議を始めたころは決まった人しか発言しなかったり、発言があっても周りの目を気にしたり、遠慮がちなムードがあった。しかし、しだいに、部門をまたぐ問題は本音で話し合い、成果をめぐって意見交換するなど、部門長同士の対話も促進されていった。部門間の協力はより一層加速し、もはや壁はなくなった。
ここであげた二つの対話の場、すなわち(1)計画と目標作りの場、(2)計画と目標推進の場は、組織風土を変える基礎となった。部門長同士が計画づくりに参加することで、互いに協力しあう関係ができた。目標をグループリーダーが決めることで、自分の目標を表明できる機会ができた。上司と部下が対話をする会議を設けたことは、お互いの話を聴き、認める関係にもつながった。こうして自立型人財が育つ土壌が醸成されていった。