事例・実績
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5Sそこに確かに存在するのに「見える」場合と「見えない」場合がある
5Sを実践している企業の経営者や管理者の方が、共通して嘆くことがあります。それは「なぜ気がつかないのか」ということです。例えば、次のようなことがあります。
- ここにゴミが落ちているのに、なぜ気がつかないのか
- トイレの床や便器は一生懸命磨いているが、なぜペーパーホルダーの汚れには気がつかないのか
- 工具の定位置を決め、ふちどりまで書いたのに、なぜそれを無視して違うところに置くのか
こういうことは、5Sに限らずによく起きていることなのです。例えば、皆さん方にも次のようなことはありませんか?
- リモコンがないと思ってあちこち探していたが、実は目の前のテーブルに置いてあった
- 指示書に目を通したはずなのだが、特記事項を見落としていて、作業ミスをしてしまった
- メガネをおでこに乗せているのに「メガネメガネ」とメガネを探してしまった
あとで振り返ってみて、「なんでこんなことに気がつかなかったのだろう」ということはよくあることです。これは、脳の働きに関係しているのです。人間には、目に入るもの全てが見えているわけではなく、脳が処理してようやく「ものが見える」状態になるのです。
脳が適切に処理をしないケースは、大きく2つあります。
脳が適切に処理をしないケースは、大きく2つあります。
- 長い間「当たり前」になった光景は、脳が処理をしない
(奥さんが美容院で髪をきったのに気づかないのは、関心がないわけではなく『変わらないはず』という思い込みがあるため) - その人にとって重要でないことも、脳が処理しない
(信号機の青は右側か左側かぱっと思いつかないのは、位置よりも色の方が重要なため)
ごみに気がつかない、汚れに気がつかないのは、「意識が低いから」ではなく、「脳が処理しないから」なのです。
存在するものを、全て完璧に見える人はいません。それが当たり前かどうか、重要かどうかは、人によって考え方が異なります。(その人が長年をかけて培ってきた価値観や知識、経験などによる)
だからそこで「工具の定位置を決めたのに、そこに戻さないのはお前が悪い!」と言ったとしても、何の解決にもなりませんね。
ではどうすればいいでしょう?これは「できる限り多くの人を巻き込む」しかありません。人によって見え方が違うので、できる限り多くの人の目を借りるのです。視点が増えれば増えるほど、「見えない場所」が減っていくでしょう。
具体的には……
具体的には……
- 自職場で気になる点、改善したほうがよい点は、全員で意見を出し合う
- 職場の全員でも気がつかないところは、上司によるパトロールなど、第三者のフィードバックを参考にする
- 職場で意見を出し合うことは、職場の改善が進んで初めて見えることもでてくるため、定期的にやる(例えば、レイアウトを変えて初めて床の汚れが目についた、など)
一人でできることは限られています。全員参加が5Sの基本です!